令和元年度下期関東・甲信越ブロック会議が開催されました。
令和元年11月13月(水)午前10時から、中央大学駿河台記念館において標記会議が開催されました。
最初に栗原会長があいさつされ、1)台風15号、19号及びその後の豪雨により会員企業にも何社か被害が出ている。一日も早い復興をお祈りするとともに、協会としても側面から援助していきたい、2)皆様には朝早くから多数お集まりいただき感謝申し上げる、3)厚生労働省からの受託事業も3年目となり、この上半期は、もう一頑張りの部分もあるが、皆様のお力添えにより概ね順調に来ている。本年度の残り半分もよろしくお願いする、4)このブロック会議に先だって一昨日、常務理事会を開催した。議題の一つは、全重協の名称変更に向けた準備等ついてである。精神障害には「重度」の概念がなく、また全重協法人化から30年の節目でもあることから、広く障害者雇用を促進していくということで、本年6月の総会で来年4月から全障協に名称を変更することが決定された。皆様におかれてもPRをお願いする、5)もう一つの議題は、研究会の立ち上げについてである。全重協の良いところは、一般企業、特例子会社、A型事業所、福祉施設と多様な会員で構成され、特定の分野に偏っていないことである。来年から、いろいろなテーマで勉強会を発足させることとしており、若手の活性化にも寄与したいと考えている。例えば、東京で開催したら次は仙台などブロック間を回りながら開催するのも一案である、6)本日は、お忙しい中、厚生労働省障害者雇用対策課長にお越しいただいており、有意義な会議となるよう期待している、といった話がありました。
続いて本部報告として、1)厚生労働省の令和2年度概算要求における障害者に係る要求方針は、@公務部門における障害者雇用に対する理解促進、マッチング・職場定着支援の一層の推進、A中小企業をはじめとした障害者の雇入れ支援等の強化、B精神障害者等の職場定着支援の充実・強化である、2)厚生労働省からの受託事業として実施している障害者雇用相談コーナーの活用、課題を有する事業所への利用勧奨をお願いする、3)同じく受託事業のセミナーについては、他ブロックでも非会員でも無料で参加できるので、積極的な参加をお願いする、4)全重協の名称変更に伴い定款の第3条から第5条の改正をお諮りする予定である、5)名称変更に伴う周知・PRにご協力をお願いする、6)全重協への寄付について、改めて前向きに検討をお願いする、7)本年6月21日付け「会員事業所における障害者の雇用状況調査」に未回答の会員には、改めて調査票をお送りするので回答をお願いする、といった話がありました。
その後、厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課長の小野寺徳子様から「障害者雇用の現状と対策」と題して講演をいただきました。講演内容の概要は以下のとおりです。
1)皆様には日頃より障害者の雇用促進にご理解、ご尽力をいただいており感謝申し上げる。また、団体名が変わることで益々の発展をお祈りするとともに、一層の連携を図っていきたいと考えているので、よろしくお願いする、2)本年7月就任以来、企業見学をいろいろさせていただいているが、皆様、様々な工夫をされ、いかに我が国の障害者雇用を支えていただいているか実感しているところ。また、率先して障害者雇用を進めるべき公務部門において不適切計上の問題が生じたことについてお詫び申し上げる、3)「働き方改革実行計画」において「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度のあり方について幅広く検討を行う」とされており、これを受け検討を行い「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(以下「報告書」という。)が取りまとめられた、4)この報告書の中では、週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援措置や障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認定制度の創設、雇用率制度及び納付金制度の在り方の検討などについて提言がなされた、5)報告書を受けて、労働政策審議会障害者雇用分科会において平成31年2月13日に「今後の障害者雇用施策の充実強化について」(意見書)がとりまとめられた、6)この意見書をもとに障害者雇用促進法の改正法案が諮問され、今回の改正となった。改正の柱は、障害者の活躍の場の拡大に関する措置と国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置である、7)具体的な改正点の1つとして、週10時間以上20時間未満の雇用障害者数に応じて納付金を財源とする特例給付金を支給することとしている。下限の週10時間は、障害者短時間トライアル雇用の下限にそろえたものである、8)中小企業の認定基準については、加点方式を採用しており、アウトカムの評価点を高く設定している。多様な取組すべてを評価するのはむずかしいので、最大公約数的な評価になることは否めないが、障害者雇用に係る中小企業全体のボトムアップを図っていきたい。具体的な手続きとしては、労働局に認定申請を行っていただき、労働局が現地調査によって評価することになる。また、認定企業については、厚生労働省、労働局のホームページで周知する。なお、法定雇用率未達成状態が一定以上続く場合等は認定の取消を行うこととしている、9)28府省の採用計画の進捗率は8割まできているが、個々の府省によっては意識が低いところもある。本年6月1日現在の国の機関全体の実雇用率は2.31%となっており、来年の6月まで集中的に障害者雇用に取り組む、10)納付金制度、雇用率制度、障害者手帳による支援など、報告書の提言等について次の事項などの大きな積み残しがある。
- 法定雇用率の計算式の分子において就労継続支援A型事業所の利用者を控除すべきとの指摘
- 精神障害者の短時間労働者に係る雇用率のカウントを今後どのように扱うべきかとの指摘
- 障害者雇用調整金及び納付金の適用範囲を、雇用義務の対象とされている規模まで拡大していくこととするのが適当ではないかとの指摘
- 大企業や就労継続支援A型事業所等で障害者を多数雇用し、障害者雇用調整金を集中的に支給されている場合、企業同士の社会連帯に基づく範囲を超えて負担の調整を受けているのではないかとの指摘
- 障害者雇用納付金財政の調整機能に関する指摘
- 除外率制度は障害者と共に働くことが当たり前の社会という理念にそぐわないとの指摘。
- 長期にわたり雇用継続してきた障害者については、雇用率制度におけるカウントを上積みする措置を講ずることも考えられるとの指摘
- 在宅就業障害者等の支援に関する指摘
- 手帳ではなく、個々の就労困難性で見るべきではないかとの指摘
- 通勤に係る継続的な支援のニーズが存在するとの指摘 など
11)年内は改正障害者雇用促進法の施行準備に集中的に取り組んでいるので、年明けから積み残し課題の議論を進めていく。その際、雇用分野と福祉分野の事業の本来的な在り方を検討することが必要であり、労働施策と福祉施策の連携のための検討プロジェクトを立ち上げた、12)今後、全重協、企業のご意見もききながら、検討を進めていきたい。(障害者雇用対策課長のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい。)
講演に続いて、障害者雇用対策課長と会議出席者との間で意見交換が行われ、認定基準のレベルが標準となって皆がそれに揃えてしまい、より進んだ取組みが行われなくなってしまうのではないか、障害者の能力評価制度を国としても十分検討いただきたいといった意見が出されました。このうち、認定基準のレベルに揃えるようになってしまうのではないかという点については、1)中レベル以上を広く認定し、取組の遅れている中小企業の追随を期待したい、2)先進的な取組については、2項目まで支援機関等が評価、加点できるという仕組みを設けており、そこを周知していきたい、3)審査マニュアルは柔軟に改訂することを考えており、ユニークな取組をどう取り上げていくか検討したい、との説明が障害者雇用対策課長からありました。
会議の最後に、新井利昌ブロック長から挨拶として、障害者雇用拡大のステージを一段上げるとの国の方針が打ち出され、我々も若手の会などで勉強して政策的にも声をあげられるようにしていきたいとの話がありました。
関東・甲信越ブロック会議後の午後1時15分からは厚生労働省からの受託事業である障害者雇用特別セミナーが開催されました。セミナーでは、「企業で活かす・企業で活きる障害者雇用の実現に向けて〜精神障害者の就労定着に向けた効果的なノウハウとは?〜」と題するパネルディスカッションやグループディスカッション等が行われました。